「好奇心に身を任せて学んできたことを、誰よりもわかりやすく伝えたい」アロマ講師・光藤有佳さん

第8回目のインタビューに応じてくださったのは、光藤有佳(みつふじ・ゆか)さんです。これまでに多くの転職をご経験されました。好きな販売職としての勤務も続けられながら、2016年からは、自らが主宰する『にこにこ堂』のアロマ講師として、精油を使った香水作りや、ペーパーフラワーアレンジメントの会などを開催されています。広汎性発達障害と双極性障害があることを公言し、またその凸凹をお仕事に活かされているという光藤さん。彼女の凹(障害)との向き合い方や、凸(長所)の活かし方を取材しました。

光藤さんの取材は大阪・新梅田シティ近くで行いました

■広汎性発達障害・計算と読解をもっと助けてもらえたら

yu-ka:本日はよろしくお願いします。光藤さんは、発達凸凹の中でも「広汎性発達障害」とのことですが、凹(苦手)の部分で特に困られたご経験はおありですか?

光藤さん:よろしくお願いします。接客が好きなんです。それで、ずっと販売の仕事をしてきたんですけど、レジで計算が合わなくて、何度もパニックになりました。細かい計算が苦手で、人が3分で終わる計算が、自分は1時間かけても終わらないことも。でも、「助けてほしい、手伝ってほしい」と言いづらいんですね。思い切って口に出したところで、周りのスタッフも忙しくて。「なんでお前できひんねん」って怒られたし、「後から入社した人の方が、出来てるやん」って言われることもありました。

yu-ka:それは辛いですね。

光藤さん:あとは、「読解」で苦労しています。学生の頃は、国語の読解・算数の文章題・英語の長文読解と全体的に読解問題が苦手でしたね。仕事だと、社内文書が回覧されても、一読して文章を理解できなくて、ひやひやしていました。心理的に負担を感じ、体調を崩すことまでありました。

yu-ka:文章見ると、拒否反応が出てしまうといった感じですか?

光藤さん:それもありますね。あとは、販売ってチームがあるんですよ。その日自分が知った注意事項などを、日誌で確実に次の人に申し送らないといけない、そのことにプレッシャーを感じていました。

yu-ka:そうだったんですね。その中で工夫されていた点はありますか?

光藤さん:コピーを取ってマーカーで色分けして、教科書のように大事なところに線を引いて、分かりやすい言葉に書き換えていました。周りの人が一読して分かるところを、自分は一回り、二回りもして、毎日時間と労力のロスが大きくてしんどかったなって。

yu-ka:なるほど。時間をかけ、ご自身で理解しやすくなるよう工夫されていたんですね。

■双極性障害・「感情の波」とも上手に付き合える

emo:双極性障害をお持ちということなのですが、どんなご病気なのか少しご説明いただけますか?

光藤さん:私は軽躁とうつを繰り返しています。うつ期は、考えるエネルギーが残っていたら、とにかく後ろ向きになる傾向があり、エネルギーがなければ1日16時間くらい寝てしまいます。軽躁のときに過活動になり、エネルギーを使い切ってしまうと、転じてうつになってしまうことが多いですね。交感神経が上がり切ってしまって下がらなくて、それが双極性の辛い部分ですかね。

emo:現在、特に光藤さんが困られていることはありますか?

光藤さん:最近出た薬が効いて、うつは減ったんですけど、軽躁が出やすくなってきました。私の場合、アンガーマネジメントが苦手なので、人間関係を築く上で非常に気を付けていますね。イライラを抑えられず、例えると綱渡りをしているような気持ちで。今すごく困っていますね。

emo:そのときに、感情コントロールはどのようにされていますか?

光藤さん:「睡眠」「アロマ」「頓服薬」の3つでコントロールします。何よりも寝ることが大事です。そして仕事中など感情が乱れやすい時は頓服薬。そこに私の場合はアロマを併用します。香りは、軽いもの・重たいものなどと分類できて、例えばよく眠りたいときは、眠前に重たい香りをお部屋に炊くことで、寝る前の気持ちが静まるんですよ。

emo:なるほど!アロマは、もともとゆかさんがご自身を助けられる「命綱の一つ」だったのですね。うつといえば「人と会うことが不安」といったこともあるのですか?

光藤さん:今はあまりないんですけど、「波」を乗りこなせていないときは、「人」が怖い時期がありました。人のちょっとした言動・マイナスの感情を敏感に感じ取りやすいのですが、それを受けると結果的に、根底にある「怒り」のような感情が湧き出てしまう感じです。ただ、周りの友人に話すと、そのような感情を消せるという対処法がわかったので、そうするようにしています。

emo:そうなんですね。何かわからない感情が湧く時ってあって困ります!どんな風に話すと効果的か教えていただけますか?

光藤さん:私は心の内を、もうありのままに話します!「これがこうで、腹立った」「どうしようもない怒りで困っているんだ」と。相談する友人には、自分のマイナスな気持ちを投稿することに「ブレーキをかけること」もお願いしています。講師をしているとSNSに日常を書くので、自分のマイナスな気持ちを投稿しすぎないよう言い聞かせてもらっていて、助けられています。

emo:それは助かりますね。もうひとつ話しておられた軽躁の時の「過活動」というのがわからないのですが、どのような感じですか?

光藤さん:例を挙げますね。普段は体調面を考え、週20時間(一般的なフルタイム勤務は40時間)に勤務を抑えているのですが、過活動になると、普段は朝が弱いのに、朝一番に移動して他県でのイベントに参加したり、丸一日無休憩のスケジュールでも平気と感じたり…。軽躁時はそういうことが出来てしまうんです。

emo:ADHDさんの多動さんのパワフルさと似ている気がします。「過活動」になった時の困りごとを知りたいです。

光藤さん:一番の困りごとはスケジュール調整ですかね。軽躁のときは「こなせる」と思っていて、休みなしに予定を埋めてしまいます。私の病気の場合、「必ず毎月うつは来る」ので、主治医に助けてもらって、スケジュールにちゃんと休みを入れるよう、後から調整することが多いです。

光藤さんお手製の『チェック表』。8年程前からつけているそう。

私が作った把握ツールもありますよ。『チェック表』と呼んでいるのですが、例えば主治医とのコミュニケーションに便利で、気持ちの波・睡眠のリズム・肌荒れ・便通・頓服・生理の状況について前回から今回までの間の体調について、正しく伝えてフィードバックがもらえます。私はこれをずっと記し続けていますよ。

emo:そうなんですね。『チェック表』は効果ありますか?

光藤さん:自分の波が予測できるようになりました。うつなどの体調悪化がそろそろ来るなとわかるので、『チェック表』は双極性障害以外の方もおススメですよ。

■『双極性障害の体験』×『好奇心旺盛』×『ライフワーク』=アロマ講師

yu-ka:先ほど「睡眠」「頓服薬」「アロマ」と光藤さんの体調コントロールの「三種の神器」のようでしたが、おそらく光藤さんが一番大切にされている「アロマ」との出会いについて教えていただけますか?

光藤さん:私の母が出会いをくれました。母も似て体が丈夫な方でないので、自分のためにもともと民間療法を勉強していたんです。だから、アロマテラピーも東洋医学も母に影響された出会いです。

そんなアロマが私を助けてくれたのは、「波」が病気だとまだ分からず、気持ちをコントロールしづらかった時代からです。人が怖く見えたりしたんですね。アロマの香りはそんな自分を落ち着かせてくれた、最初は癒しアイテムでした。今だって『魔法の小瓶』と呼んで、アロマ精油を鞄に忍ばせています。例えば怖くて一歩踏み出せない時、ラベンダーの香りが「よし頑張ろう!」とか、リラックスできる気持ちを呼んでくれるんですよ。

yu-ka:アロマを使う側から講師になられたんですね!

光藤さん:アロマテラピーを知って魅了されたからでしょうか。アロマテラピーインストラクターを2008年に資格取得したのです。それが2016年、通っていたエステシャンが、「資格があるなら、もう今からやりましょう!今日から光藤さんはアロマの先生!」って言ってくれたんです。私も「そうだ、活かせずじまいだった」って!そこから一念発起して講師を始めたので、本格的に講師を始めたのは2016年3月です。

yu-ka:アロマ講師をされる中で、ご自身の凸(長所)が活かされているなと思われるのは、どのようなときですか?

光藤さん:2点あると思います。まず、私が好奇心が旺盛なので、毎日勉強していても楽しいと思えるところです。資格取得も好きなので、その数が増えていきます。資格は人に伝える自信に繋がりますし、講師としての責任感ってありますよね。西洋のハーブやアロマの知識だけでなく、東洋の漢方など、いろんな角度からからだの仕組みについての知識を使えるようにしています。

もう1点は、先ほども言った「読解が苦手」というところを使っています。複雑なものを捉えるのが人よりだいぶ難しいので、工夫して生きてきました。そのおかげで、分かりやすくかみ砕いて、人に伝えることが得意になったと思っています。テキストも、初心者の立場に立って作っています。絶対、自分が理解できないような難解にはしませんよ。アロマクラフトも、「アロマを知らない人でもできる」よう、「お料理のレシピより簡単に」をモットーにしています!

yu-ka:光藤さんのセルフブック(※ ご自身のデザイン)には『にこにこ堂』は『健康健美のワークショップ』をされていると書かれていますが、ご活動で特に大切にされていることはありますか?

光藤さん:何よりも「楽しんでもらえる」ように心がけていますね。『にこにこ堂』というネーミングに、その想いを込めました。

yu-ka:どのようなお客さんに来てほしいですか?

光藤さん:もちろんアロマに興味を持たれている方にぜひお越しいただきたいです。けれど、それ以上に私自身のように、自分としっかりと向き合って生きておられる方にも、ぜひアロマを知っていただきたいです。

yu-ka:光藤さんらしいですね!たとえば3年後、どんなアロマ講師になりたいという目標はありますか?

光藤さん:東洋医学も取り入れて、男女関わらずお客さまが美しく健康にいられることを手助けするアロマ講師になりたいですね。

またアロマ講師だけでなく、踏みとどまっている方へのサポートがしたいです。

yu-ka:それは、アロマを本業にされている方に限らずに、ですか?

光藤さん:実はそうなんです。例えば、人前で何かしたいけど、踏みとどまっておられる方っておられますよね。私も以前そうでした。

私自身が「このケースでは、このように準備すべき」のようなマニュアルを考えて進むタイプなんですね。自宅サロンを開かれる場合と、出張講師をされる場合では準備のパターンは違いますし、開業資金の準備も経験者の知識があると助かる人が多いですよね。私自身も、経験者に学びに行って助けられましたし、講師業として踏みとどまっている方に、具体的なサポートができたらなと思います。

加えて、おしゃべり好きが高じて始めた女子会やインターネットラジオ配信が盛況なので、今後も楽しい場を作ることを継続したいと思います!

■ええなあ。おもろい個性もってんねんなぁ~!

yu-ka:最後に、現在発達凸凹で悩む方へ向けてのメッセージがあればいただけますか?

「ええなあ。おもろい個性もってんねんなぁ~!」

光藤さん:発達凸凹について人に説明するとき、「発達凸凹って個性豊かでおもしろいで!」っていつも、言っているんです。没個性の世の中になっていますよね。その中やからこそ、発達凸凹が一際キラキラできるねんで!と私自身は思っています。「ええなあ。おもろい個性もってんねんなぁ~!」って。診断されたならば、これからおもろい人生を歩んでほしいなと思っています。

光藤さんは、資格を多数取得されていて、大変努力家だと感じました。文章読解や計算の苦手さを、一人で抱えて仕事をされていたエピソードを聴き、胸が痛くなりました。しかし、読解の苦手意識を逆手に取り、アロマのテキストを、初心者でも伝わるよう、分かりやすく書かれていることが素敵だと思いました。光藤さんの今後の活動を、応援させていただきます。

(取材:emo&yu-ka 文:yu-ka 写真&動画:naoya 編集:yuh&emo)

 

プロフィール 光藤有佳(みつふじ・ゆか)さん

にこにこ堂主宰。神戸を基軸にアロマクラフトや、ハーブ・東洋医学のほか、ご自身が体験されている双極性障害・発達障害との向き合い方など、幅広く教室を開催。

自分自身が楽しみ、お客さんに楽しんでもらえる教室作りをモットーに、知識とともにお客さん同士でコミュニケーションを深めてもらえる時間を提供している。ご自身が救われてきた『魔法の小瓶』作り。そのアロマの香りで「ほわん!とする瞬間」が会話を生むことを楽しんでおられる。

甲南大学卒。資格取得が大好きで、資格多数。アロマ関係は、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、JAMHA認定メディカルハーブアドバイザー、JAPA認定アーユルヴェーダ・アドバイザーなど。

多数の転職を重ねるなかで、印刷屋勤務やアニメーターを経験。また、専門学校に通いデザインを勉強された(色彩検定・カラーコーディネーター3級有資格)。

加えて、マーケティングの勉強も活かした告知媒体作成では「お客さんに目にとめてもらえる」をコンセプトにしている。にこにこ堂のセルフブックや名刺もご自身のデザイン。

「にこにこ堂」のセルフブック

バイタリティと教室運営で養われた場づくり力で、女子会などの楽しいイベント企画にも、ご自身の可能性を広げ、活動に挑戦しておられる。

今の夢は7年後に設定した出版。光藤さんには、教室を超えて、もっと伝えたい2つのメッセージがある。「人生って何回でもやり直せる。失敗の回数があるほど面白い」そして「凸凹も理論的に伝えれば理解してもらえる」ということ。そのためにSNSで日々発信している。

光藤有佳さんオフィシャルHPはこちら⇒HERBAL LIFE DIARY

理論的に凸凹や病気について伝えることで、
・健常者は、まだ知らないだけで、障害者のことを理解可能であり、障害者は関わりづらくないこと
・健常者・障害者というけれど、本来はっきりした線引きなどなく、溝を埋められること
・障害者に分類されても助けてもらうのが当たり前ではなく、自分と向き合うことが大切だということ
を広げていきたいと話しておられる。

光藤さんが長所を活かせている時・キラキラしている瞬間は? → 「講師をしているところ」

「やはり講師をしている場面を描きました。情報をお客さんに伝えているときが、とても楽しいです!小さい頃、親に『放送局』って呼ばれていました。当時は家のことを口外してしまって親を困らせたことも(笑)。小さい頃から、誰かに伝えることが大好きなんです」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です